食生活改善推進員とは

[1]食生活改善推進員

わが家の食卓を充実させ、地域の健康づくりを行うことから出発した食生活改善推進員は、「食生活を改善する人」を意味します。豊かな感性と知性と経験が一人ひとりの力となり結集され、“私達の健康は私達の手で”をスローガンに、食を通した健康づくりのボランティアとして活動を進めてきました。
令和元年には創立50周年を迎え、サブスローガン「のばそう健康寿命 つなごう郷土の食」を宣言し今後の活動に繋げています。
なお、平成24年度から新たに男性会員の加入が決定されたことにより、地域住民に対し生涯を通じた食育の推進、健康づくりの担い手としての活躍がますます広がって行くことが期待されています。

[2]食生活改善推進員
(ヘルスメイト)の誕生

昭和20年代、食糧が十分でなく栄養不足の中、乳児死亡率が高く、家庭の主婦は問題を抱えていました。各都道府県では保健所を中心に「栄養教室」が開設され、主婦を対象にした学習が行われるようになりました。そこで、健康生活について正しい知識と技術を学習し、自らが健康生活の実践者となりこの問題にとりくむ意欲的な主婦のグループが誕生しました。そして昭和34年、厚生省(現厚生労働省)から「栄養及び食生活改善実施地区組織の育成について」の通達文書が出されました。
昭和58年になると、厚生省は、食生活改善推進員を33万人養成し、すでに栄養教室を修了して活動していた会員15万人と合わせて、将来48万人に増やそうと計画されました。それにより各県では、70世帯に一人の割合で、食生活改善推進員の養成がすすめられました。
昭和63年には婦人の健康づくり事業の一環として、食生活改善推進員養成事業が予算化され、国の補助事業となり各県で養成事業が進められました。平成9年になると地域保健法が施行され、食生活改善推進員の養成を含む「婦人の健康づくり推進事業」が一般財源化され、地方交付税に組み込まれました。このことから、これまで県の保健所で実施されていた食生活改善推進員の養成は、市町村に委譲され実施されることとなり現在に至っています。

[3]男性会員の加入

平成11年男女共同参画社会基本法の施行により、養成講習会は男女の区別なく市町村で養成が行われています。しかし、養成後の活動団体である「全国食生活改善推進員団体連絡協議会」では、女性の活動団体として設立以来活動を行なってきましたが、平成24年から男性会員の加入を認める事になりました。男性会員には、ヘルスサポーターの修了者や男性料理教室、単身男性、そして会員のご主人等を誘っていただき、大きな健康の輪が広がり将来の住みよい街づくりに繋がる事を期待したいと願っています。

[4]食生活改善推進員は
食育アドバイザー

平成17年「食育基本法」が施行されたことから、食生活改善推進員は、地域における食育推進の担い手として、「食育アドバイザー」を併名されました。子どもから高齢者まで、健全な食生活を実践することのできる食育活動にとりくみ、食事バランスガイドの普及・地産地消・郷土料理や行事食、食文化の継承などという大きな視点から食育を捉え、健康づくり活動を進めています。
食べることは生きることの基本です。地域の健康づくりの輪が食生活改善推進員の力で地域全体に広がっていくことを期待しています。

食育アドバイザー登録書

[5]食生活改善推進員の役割

21世紀は65歳以上の高齢者が、4人に1人となる超高齢社会になりました。私たちはこれまで元気で長生きで健やかに過ごせる長寿社会を目指して活動を進めてきました。しかし現在では生活習慣病の増加が大きな問題となり、その原因は日頃の食生活に深い関係があるとされています。このような状況を背景に食生活改善推進員は、「私達の健康は、私達の手で ~のばそう健康寿命 つなごう郷土の食~」をスローガンに、バランスのとれた食生活の定着を目的に、自主的な活動と行政への支援活動の両面から進めています。「家族」、そして「お隣りさん、お向かいさんへ」と働きかけ、仲間とのふれ合いを通じて、地域ぐるみのよりよい食習慣づくりを始めます。この“草の根運動”が食生活改善のための地区組織活動となり、お互いの交流を深め、問題解決に向かって協力し合い、人と人とのつながりの輪が広がっていくことでしょう。最初は小さな活動も、その結果がよければ、次々とその輪が広がっていくのが地区組織なのです。住みよい健康で文化的なまちづくりをめざし、自分の住む地域に愛情と誇りをもち、「我がふるさと」という意識を持ち活動を進めましょう。

(1)食生活改善推進員の活動

  • ①食育の推進と普及、啓発
  • ②食事バランスガイドの普及、啓発
  • ③健康日本21の推進

(2)食生活改善推進員は健康づくりの案内役

食生活改善推進員の組織活動は、役割を分担しながら、お互いに教え、教えられる関係の中で、集団行動するおもしろさを味わい、活動をしていることが楽しい、という姿を創造していくことなのです。

[6]食生活改善推進員活動は
ボランティア活動

ボランティア活動は、単なる奉仕活動というだけではなく、自分に何ができるかを考え、対象となる人の自立を支援することで自分自身の自立も確立することにもなります。つまり、お互いに自立し合うことが、ボランティア活動の精神なのです。食生活改善推進員の活動は、人々への思いやりの気持ちさえあれば、誰にでもできるのです。食生活改善推進員は、このボランティア精神をもとに、日々、活動を続けています。

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ボランティアの4原則

①自主性・自発性
ボランティアは個人の自発的な自由な意思によって行われる活動であって、人からの命令や強要されて行うものではありませんし、仕事でも、義務でもありません。自分がボランティア活動を「やろう!」「やりたい!」と思う気持ちが一番大事なことです。また、他の人から頼まれて仕方なく始めることもあると思います。なんとなく続けていくうちに興味が出てきて続けているなら、それも「続けること」を自分で選んだということです。
②社会性・連帯性
自分が関心を持った社会的な事柄や趣味を通じて始まったボランティア活動が継続的に行われ、大きな活動となることにより、なんらかの形で社会へ影響を与えるようになる。そして、その活動を通じて同じ活動を行うボランティアさんや相手の方とかかわりができて、新たな人間関係が育まれるようになるということです。
③無償性・無給性
ボランティア活動は金銭や物品などの見返りを求めない活動であり、ボランティア活動の報酬は相手と自分の心が満ちることと、いろいろな人とかかわることによって得られる人間関係です。ただし、経費のいる活動なども非営利性を持たせておこなう場合もあります。
④創造性・開拓性・先駆性
行政の活動は、法律や条例、予算に基づいて行われるのに対し、ボランティアは地域に暮らす住民が独自のアイデアによって先駆的な、創造性豊かな活動を生み出すことができるということです。

ボランティアで大切なことは

●人間関係を大切にする。
ボランティア活動は、健常者から障がい者へ、恵まれている者から恵まれない者へということではなく、地域住民による相互の活動であり、地域住民がお互い対等で平等な立場で協力し合える関係が大切です。また、相手の気持ちを考えて行動しましょう。
●責任と継続性をもって活動する。
ボランティア活動は自発的な活動であり、自らの判断や考えで行う必要があります。ただしボランティア活動を始めることは自由ですが、特に活動の相手がいる場合、ボランティア活動だからといって自由に活動をやめられません。長く続けられるよう継続性と責任を持って活動しましょう。